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ゆるゆるな旅〜その7 [ゆるゆる旅日記]

大塚国際美術館はB3〜2Fの5つのフロアーに別れています。
相変わらず、まだ階段を1つ上がったB2のフロアーをウロチョロの状態。
このB2のフロアーには先に紹介した『モネの大睡蓮』の環境展示場もあったり、あらためてこの美術館の規模の大きさを痛感致します。
さてさて、それではいざバロック時代へ。
バロックは「ゆがんだ真珠」を意味していて、極端な明暗のコントラストやドラマティックな感情表現など、ルネサンスとはまた違った面白さにあふれています。




これはイタリアバロック絵画最大の巨匠、カラヴァッジョの『聖マタイの召命』。
光と影の織り成す強いコントラストがその場の緊迫感をビリビリと伝えてきます。
色々と解釈はあるようですけれど、どうやら指さされてうなだれている男性(一番左の男性)が聖マタイのようです。
さて、このカラヴァッジョ。
芸術家は往々にして何ともドラマティックな生涯を送られる方が多いものですけれど、
彼も例にもれず。
35歳の時、喧嘩で一人の男性と決闘になり、相手を刺し殺しローマからの逃亡をはかります。
殺人犯として追われるようになってしまった彼は、逃亡先のマルタ共和国で『洗礼者聖ヨハネの斬首』を描くことになります。しかしながらそれが認められて、罷免されることに。
芸は身を助く、まさにそうでございました。
しかしながら、彼は怒りっぽい性格なのか、それとも決闘が好き(?!)だったのか……
1年も経たないうちにまたしても些細な事から決闘してしまい(何故、些細なことから決闘へと発展してしまうのかがよくわかりませんけれど;)、投獄されてしまいます。
懲りていなかったのか、何と脱走を試みるも数日後には逮捕されてしまい、斬首刑を宣告されることに。
その宣告を自らが描いた『洗礼者聖ヨハネの斬首』の目前で聞かされることになるとは、カラヴァッジョ自身も想像していなかったのではないでしょうか。



こちらはオランダ絵画黄金期に活躍した最大の巨匠レンブラントの『夜警』。
学校の教科書にも大きく載せられていたことを覚えています。
この作品、当時流行していた集団肖像画だったわけですけれど、顔に腕が重なってしまったりなど、登場人物を平等に描かなかったことから、依頼主からは相当不満が出たようで、これが注文激減、没落の要因を作ったのではなどと言われていたりもして。本当のところはよくわかりませんけれど。
また修復作業によってわかった衝撃(笑)の事実……この『夜警』が、実は昼を描いたものなのだということ。
夜景に見せていた黒い背景は画面上に塗られたニスが変色したものなのだとか。
大きくイメージが違ってくるような事実でございます。



そしてロラン・クロードの『夕陽の港』。
水平線に沈んでゆく太陽の光の力は勇壮でさえあります。
スポットライトを浴びたような緊迫感ある作品ばかりが続きますと、こういった風景画に心がホッとほどけてゆくようです。
本来なら、風景画といえばホッベマ・メインデルトの『ミッデルハルニスの並木道』やフェルメールの『デルフトの眺望』などを載せたいところだったのですけれど;
何故かこれらの写真が見あたらないのですね;
確かに観た覚えはあるのですけれど……。
……で、忘れてならないのが、そのフェルメール。
30作品程しか残っていない事実が示すように、フェルメールの生涯自体も謎に包まれているようで、こちらの美術館では忘れられた画家たちというテーマの元に展示されておりました。
(特別にフェルメールの部屋がB3のフロアーに設置されておりました。)



代表作の1つ、『牛乳を注ぐ女』。
当時の生活ぶりがそのまま描かれ、遠近法を無視した台形の机など、興味が尽きない作品。



恐らく彼の作品の中で最も有名な作品であろう『真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)』。
(写真のずれは、早く先へ進まないと……と、ものすごくあわてていた証拠です……(////);)
背景の黒にブルーとレモンイエローのコントラスト、振りむくその一瞬の姿が何とも印象的で美しく、『北欧のモナリザ』と言われるほど。
作品自体はそんなに大きなものではありませんけれど、その吸引力はすさまじいものがございました。
それでも、フェルメールが神話や聖書の物語などを描いていないこと、作品のサイズが小さい事などが忘れ去られそうになった原因であると言われております。
それでも、印象派が台頭してくる19世紀には再び光を放ち……。
真実の才能の放つ光は決して埋もれてしまうことはないのでしょう。

……次はいよいよB1のフロアーへ上がって参ります。ゆるゆるですけれど……。


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sima

例によって、素晴らしい記事です。
マジメに感心してしまいます...このようなエントリーをさせたら、Ryu's Cafeさんは100点満点中、限りなく100に近い気がします。
そう...私のような「全くの美術無知人間」に最後まで読ませてしまう訳ですから...
それにしても、優しげで綺麗な写真達です。
「絵画」そのものに魂が刷り込まれている訳ですが、それを撮影するRyu's Cafeさんの「想い」が投影され、それらが逢い交えて、このような雰囲気を醸し出しているんでしょうねぇ...かなりマジメに関心...
私の場合、blog一つの記事を書き終えるのに5~6分で終わってしまいます。
しかしながら、このRyu's Cafeさんの記事を読むと、ゆうに1時間ぐらいは掛かるよなぁ~っと思い...
つまり、それが(blogシステムの問題で)吹っ飛ぶ辛さも想像に容易いよなぁ~っと。
blogは言うなれば個人新聞。
内容も発行間隔も、休刊も、継続も...
すべて記者であり/編集者でもある「個人発行人=blog管理者」が決めること。
そう考えてみると、このような記事を無料で読んでしまって良いものか...と、ちょっと真剣に考えています。
大袈裟でスミマセンが、真実で御座います。
長文、失礼しました。(&大変、勉強になりました!)
by sima (2006-09-29 00:36) 

katsura

復活、おめでとうございます!ぱちぱち。
これがすっ飛んだとあれば、さぞがっかりされたことでしょう。
カラヴァッジョ、陰影の感じがすばらしいですね。
by katsura (2006-09-29 06:55) 

ryus_cafe

simaさんへ.*:。.☆
ほ、褒め過ぎでございます……simaさん(////)。
私自身も美術についていい加減でわずかな知識しかございませんので、そんな私自身の理解を深める意味もあってのエントリーでもございますから(笑)、あまり小難しいものにならないのかもしれません。
私は美術や音楽に対してあまり知識的にむきあうのではなく、感覚的なところがございますので、評論家のように知的にはもちろん語れませんし(語れる方をとてもうらやましく想いますけれど)……
むしろ、そのアーティスト自身に興味を抱いてしまう事の方が多いので絵への感想はむしろ少ないかもしれません。
simaさんのblog個人新聞論。
思わず私も考えさせられました。(私も時折どうでも良いようなエントリーもしてしまいますし(////)☆)
でも、こうしてnice!マークをいただいて、心のこもった感想をいただけるだけで十分に満ち足りております(^-^*)
それに、結構いい加減なことでも綴れてしまえるところがblogの良いところでもありますしφ(^-^;;;
もう少し自らの詩集を上手く宣伝したり、もっとblogを上手く活用しなければいけないのですけれど、相変わらずこちらのblogは静かです(笑)♪
(これはこれで私は好きなので良いのですけれど。)
by ryus_cafe (2006-09-29 10:27) 

ryus_cafe

katsuraさんへ.*:。.☆
katsuraさんから拍手をいただいちゃいました♪(////)とても嬉しいです.*:。.☆
復活が思いの外早く出来たのは、温かな言の葉をいただけたから。
katsuraさんからの言の葉も、もうシュワシュワ心に力を吹き込んで下さって(^-^*)♪
でも実際は昨夜UPしたもの、消えてしまった記事より、1つお写真少なくなっていたりします(^-^;;;
いつもこうした時感じる事が。
一番最初に綴ったものが一番良いような気がする……ということですね(>_<)
二番目だと、想いが薄まるような気がするからでしょうか。
カラヴァッジョは、かなり強烈な印象の絵が多いですね。
彼自身がすごく濃いキャラクターの感じですし、作品にやはりそのまま投影されているのでしょうね(^-^;;;
by ryus_cafe (2006-09-29 10:40) 

ryus_cafe

ごまさんへ.*:。.☆
nice!ありがとうございます♪
blogも拝見させていただきましたけれど、とても興味深くて、素敵なblogでございました♪
早速いつも拝見させていただこうと、RSSに登録させていただきました。
どうぞよろしくお願い致します(_ _ )
by ryus_cafe (2006-09-30 09:18) 

ryus_cafe

のらりくらりさんへ.*:。.☆
まあ♪ここにも(////)
nice!発見♪本当にありがとうございます♪
by ryus_cafe (2006-11-05 09:51) 

のらりくらり

へぇ~っ!
「バロックが歪んだ真珠」を意味するとは、知りませんでした。
バロックはバロックでした。
私も、絵画など好きですが、ほとんど感覚的です。
小さい頃は、レンブラントが大好きでした。
何故だかよく覚えていませんが…ときめいていました。
明るさというより、同時に影が気になっていたような気がします。
フェルメールの「真珠の耳飾の少女」は、誰もが一度は恋する作品ではないでしょうか。
映画でも見ました。
主人公が、絵の少女にそっくりなのでびっくりいたしました。
この時代の、光と影の捉え方は、なんともいえませんね。
そうでしたか…その光と影は真珠だったんだ~
とあらためて納得いたしました。
ryus_cafeさんの言葉の光の中には、
バロックの感性もあったのですね。
by のらりくらり (2006-11-12 09:54) 

ryus_cafe

のらりくらりさんへ.*:。.☆
いつもながらのお優しいお気持ち溢れるコメントありがとうございます♪
ふふふ(^-^*)♪
ちょっぴりでものらりくらりさんのお役に立てて、嬉しく思います。
『歪んだ真珠』……ちょっと面白いでしょう♪
……あ(////)でも、私も感覚的にしかわかりません。
ですから、簡単なご紹介文に終止してしまっておりますφ(////)
フェルメールは本当に不思議な画家ですね。
日常的なものを描いているのに、何だかとても印象的で。
あ♪確かに映画、ございましたね♪残念ながら私はその作品観ていなくて。
そっくりな少女.*:。.☆きっととても魅力的だったでしょうね♪
映画の内容はいかがでございましたか?

……(////)のらりくらりさん、褒め過ぎでございます〜(照)
by ryus_cafe (2006-11-12 12:20) 

ryus_cafe

>Hiji-kataさまへ.*:。.☆
このようなところまでさかのぼって頂いてのnice!
本当にありがとうございます(////)
心からの感謝を込めて。
by ryus_cafe (2007-11-29 16:15) 

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