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『明日こそ鳥は羽ばたく』 [My Favorite]

随分(本当に随分)昔になるでしょうか。
『Bird』という言の葉、響きが、私の中に鮮烈に残ったラジオドラマがございました。
今よりはるかに若い藤岡弘さんが独り、あの重低音ヴォイスでとつとつと物語を進めてゆく……
なんと耳引きつけられるドラマであったことでしょう。
言の葉を口にすることで、耳から心へと広がってゆく得も言えぬドキドキ感。
今でもあの時ほど、ラジオを一生懸命に聴いたことは無かったように思います。
先日、フト何気なく思い立って検索をかけてみたところ……
そのドラマの元になった本のタイトルがわかったのです。
ネットがなかった時には考えられなかったこと。
記憶がつながってゆくのを実感した一瞬でもございました。
(↓それがこの本。)


明日こそ鳥は羽ばたく (1975年)

  • 作者: 河野 典生
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1975
  • メディア: −



実はこの本、もうすでに絶版にされておりました。
しかしながら……
なんと……初版本が手に入りました!
ネットって本当に素晴らしいです。

ああ……まるでもう想い出をたどる旅のようで。
主人公はインドへと『Bird』(のテーマを創った行方不明になってしまった知人)を求めて旅立つわけですけれど、私はその旅に同行するかのような気持ちになりました。
戦後から復興へと向かった日本の時間。
その間に流れていた音楽、JAZZ。
作者の年代とピッタリと合っている人、或はJAZZを愛している人にとってはたまらない作品となるのではないでしょうか。
年代が完全にずれてしまっている私でさえ、こんなにも入ってゆけるのですから。
全編にわたって流れ続ける<鳥>バードのテーマ。
ラジオドラマでは一体どのようなメロディーが流れていたのでしょう。
残念ながら、そこまでの記憶は残ってはいないのが残念でならないのですけれど……。

文章であるはずなのに。
そこからは見事なくらいに音楽が溢れ出て参ります。
たった一つのテーマがインドの歴史を紐解き、当時の市民革命にまでも関わってゆくその展開。
読み進めてゆくうち、私には素晴らしいギタリストのお友達がいるのですけれど、
ついついその方をだぶらせてしまって。
(主人公鷹取は残念ながらサックス奏者なのですけれど。)
とにもかくにも、久しぶりに素敵なご本に廻り逢うことが出来ました.*:。.☆





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