ゆるゆるな旅〜その3

さて、前回は主に環境展示をメインに作品をいくつかご紹介させて頂きました。
（※ポンペイの素敵なヴィーナスの壁画を1点追加しておきました。）
今日はいよいよルネサンス期へと進んで参ります。
一言でルネサンス期と申しましても、本当にたくさんの素晴らしい作品が目白押しでございます。
しかしながら、ふと、同じようなモチーフの作品が続くことに気付きます。
大天使ガブリエルがキリストの受胎をマリアに聖告する場面……
そう……それは『受胎告知』。
あらためて館内のパンフレットでタイトルだけを追ってみても、連続で14の作品が
登場して参ります。
当時、最も人気のあったモチーフと言えるのでしょう。
私自身も教科書などで幾つも観た覚えのあるものが次々と出て参ります。
（何だか嬉しくて心の中ではきゃあきゃあ無邪気に叫びっぱなしの状況です。笑）
まずはやはり『受胎告知』といえば、私の中ではフラ・アンジェリコでしょうか。



遠近法で描かれ、聖母は女王のように豪華ではなく、天使もまたマリアと対等に向かい合い、
敬虔に手を合わせています。
両者が対等に描かれているということが、まさにルネサンス的。
しかしながら、フラ・アンジェリコはこのモチーフで何度も作品を描いておりますから、
もっと鮮やかで豪華で優美で輝きに満ちた色彩のものを、ご存じの方も多いことだろうと想います。↓



そして、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』。



こちらも背景の遠近法など、レオナルド自身初期の作品といわれておりますけれど、
実に豊かな才能があふれんばかりに伝わって参ります。
（今回は『最後の晩餐』などは次の記事にまわすことにします。）
そして、遠近法といえば、ベッリーニ・ジョヴァンニの『受胎告知』。



この『受胎告知』で気になるのは床や壁、天井にまで至る格子模様。
これは実に遠近法を巧みに使った作品で、この格子は単なる模様だけではなく、
空間の広がり、そこにある物体と物体の位置関係、大きさの対比までを現す
座標のような役割を担っているわけです。
そして、最後は初期ルネッサンスを代表する作家フィリッポ・リッピの『受胎告知』。



大天使ガブリエルの言の葉に驚き、腰が引けているようなマリアがおもしろい気が致します。
そして、真ん中の太い柱。
これは『受胎告知』のシーンとは本来関係のない天使たちですので、作者が二分した
のでしょうか。
観てみれば、なるほど。思わずうなづいてしまいます。
また、こうした作品には作者の想いなどが込められていて、それを考えながら観ていると
本当に時間のたつのを忘れてしまいます。
絵は単に絵の具を塗り重ねてゆくだけでなく、そこに流れ行く時間、命の時間、瞬間の想いを
重ねて重ねて完成されてきたもの……

……ハッ。
たった5作品をご紹介するのに1記事を割いているようでは……本当に終わりが見えませんね。
まだまだまだまだゆるゆる美術館廻りにおつきあいいただくことになってしまいそうです；

コメント 6

※写真がなるべく奇麗に見えるように、今回少し大きめの画像にしている結果；
どのお写真も右側が少し切れてしまっておりますね(>_<)
（今、あらためて気付きました；；；）
少し写真を小さくしてみようかと考え中なのですけれど……
どちらがよろしいでしょうか。
でも、小さくしますと、どうしても迫力が減ってしまうのですけれど……(^-^;;;
by ryus_cafe (2006-09-05 23:50) 

大きい方が迫力あって宜しいかと...

とは言っても、
「見る方の環境次第」かも知れません。
ちなみに、
私は今、出張中のホテルからLAN環境でブラウズしております。
このような高速通信環境下では「大きい画像の方が良い」のですが、
ふだんは、PHS通信カード経由でダイヤルアップして見ることも多いです。
その場合は、小さい画像の方が速く表示されるので便利かも...
→なんやかんや言っても、これら美術館の写真は矢っ張り素晴らしいと思うので、大きい画像で見たい...というのが本音で御座います。
(長々と煮え切らない内容でゴメンナサイ...)
by sima (2006-09-06 00:07) 

出張中にも関わりませず、コメント＋nice!まで♪
本当にありがとうございます.*:。.☆
もし切れていない状態を……ということでしたら、
こちらでご覧いただくとよいかと想います(^-^*)
http://02.members.goo.ne.jp/www/goo/r/u/ryus_cafe/diary.html
by ryus_cafe (2006-09-06 00:28) 

拝見しました。
So-netのBLOGサーバーと比較すると、格段に高速のようで、
いまいる環境(名古屋のホテル)からは、
非常にサクサク見られて快適です。
其れより何より、
非常にキレイに撮れていますね。
大きいと殊更映えます！
by sima (2006-09-06 00:35) 

フラ・アンジェリコの素朴さって心打たれるものです。
時代が下がるにつれ、「カッコつけすぎ」の感じがあるようで。好みの問題もありますけどね。
by katsura (2006-09-08 22:31) 

nice!ありがとうございます.*:。.☆
そうですね、katsuraさんのおっしゃる通り(^-^*)
時代が下がるにつれて、何となく芝居気たっぷりになってきている部分もあって。
思わずおかしくなったりします。
by ryus_cafe (2006-09-09 13:40)