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ただいま、Blue。 [こぼれ落ちる想い]

 
夏の終わりに

たどる時間


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恐ろしく時間は流れてしまったというのに
 
耳をすませば
 
埋もれてしまっていた想い出に
翼が生える
 
 
 
 
☆photo & words / (C)夏実
 
 
 
 
 
 





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眠れる場所で [こぼれ落ちる想い]

 
静かに
 確実に
  降り積もってゆく時間

想い出が溶けて 滲んで
  おぼろげになってゆくことを
  止めることは出来ないけれど

交わし合う言の葉で
 それを何度もなぞるように
 消えてしまうことの無いように


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時間を含んだ
 柔らかな言の葉は
豊かな熱量でもって
心のくぼみを 
 充たしてゆく
  そして
   溢れて

初めて
知るのだ

あらゆる方向に伸びていた
愛のかたちを




☆Photo/(C)夏実










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Pave de chocolat ~恋するチョコレート~ [こぼれ落ちる想い]

 
少し固めに作ったガナッシュ
そっと小さく
四角に切り分けて

甘い甘い石畳

一つ一つ大切に
ほろ苦いココアパウダーで仕上げていった

あなたに続く
道をつくるように

Pave de chocolat
Pave de chocolat

出来上がりのひとかけら
口に放り込んで
広がる甘さに
みるみる頬が熱くなって
キッチンに立ちこめる香りに
いたたまれなくなって
慌てて窓を開けた

滑り込んできた風が
囁きかける

Je t'aime......?

思わず両手で耳を押さえて


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小さな箱にチョコレートを敷き詰めて
シンプルなラッピングに
さり気なさを精一杯に装って

駆け出したくなるような気持ち押さえて
その気持ちに
リボンをかけて

ドキドキを身につけて
出かけよう

美しいヒールの靴を選んで
一番素敵に見えるワンピースを選んで
魅惑的なルージュの色を選んで
心泡立つ香りを選んで

全てを薔薇色に染めて

あなたへ続く道
細いヒールの音 響かせて

Pave de chocolat
Pave de chocolat










☆Photo/(C)Free.Stocker
(※このお写真はFree.Stockerさまよりお借りさせて頂き、
 使用させて頂いております。
 こちらからの無断転載はくれぐれもおやめ下さいませ。)






















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遠く、サイレンの音が聴こえて。 [こぼれ落ちる想い]


遠く、サイレンの音が聴こえて

重なるように
十時を知らせるドヴォルザーク
夜の帳を
はためかせる


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息吹き返すように脈打ちだす記憶
香りまで
その
温度まで
立ち昇らせて

一体どこまで還って来れたというのだろう

幼き頃の
無意識のハミングに導かれるように 
こぼれ落ちていた旋律

まるで呪文 炙り出される
狂おしいほどの 切なさみたいなモノ
絡みつくように 這い上がってくる
焦がすように
滲むように
広がってゆく軌跡

生きてきて 生まれてきた
数えきれないほどの
ちょっとした想いの切れ端
何でも無いことのはずが
時間を含んで
たまらない感情をはらませて

ああ、もうこんな時間。と
いつも小さく歌いながら
窓の外 夜空を眺めていた


遠く、遠く
サイレンの音が聴こえたような気がして

ドヴォルザークの旋律が
若かった父の口笛を蘇らせもして
なぞるように
そっとハミング続けて









☆Photo/(C)MIZUTAMA
(※このお写真はMIZUTAMAさまよりお借りさせて頂き、使用させて頂いております。
 こちらからの無断転載はくれぐれもおやめ下さいませ。)
























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Focus [こぼれ落ちる想い]

 
太陽を忘れてしまいそうなほど 
雨が続いたような気がしていたから

訪れた空の蒼さに 
何だか胸が潰れてしまいそうになって

引き寄せられるように
まっすぐ伸ばした 
両手の 親指
     人さし指
互い違いに指先合わせて 

そっと切り取った


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愛シテルこと 忘れてしまいそうな程
 愛サレテいたのに

繰り返す 日々が
何でもないことのように押し流していった


ただ流れてゆく時間の中で
溺れ沈んでゆく記憶を
幾つ見失わずにいられるだろう


滲むような空の蒼さは
心の奥底まで照らして

おぼろげだったものを優しく縁取る

時に『当たり前のこと』の大切さに
ピントをあわせて




☆Photo/(C)MIZUTAMA
(※このお写真はMIZUTAMAさまよりお借りさせて頂き、使用させて頂いております。
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溜め息、バレンタイン。 [こぼれ落ちる想い]

 
「チ、ヨ、コ、レ、イ……ット。」

階段を一段
      一段

それをたどるように
小さく口をついて出た

最後の一歩
両足で飛び降りてしまっていたことに
あわててキョトキョト……見回す始末

頬がジワジワ熱を帯びてくる


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バレンタインに間に合わせようと
決心したはずだったのに
選んだ言葉も何もかも
尻切れトンボのままでフワフワしたまま
苦い想いが広がるばかり

それでも
あっけないまでに
その日は来てしまって

散々悩んだ
意気地なしのチョコレートは机に置いてけぼり

過ぎてしまえば
枯れてしまった花みたい


伝えたかった想いがこぼれて
子供染みた
チ、ヨ、コ、レ、イ、トに頬染めて




☆Photo/(C)MIZUTAMA
(※このお写真はMIZUTAMAさまよりお借りさせて頂き、使用させて頂いております。
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emotion [こぼれ落ちる想い]

 
教えて

歪んでしまう 視線のその先
込み上げてくる
この胸の 焦げ付くような痛みの理由(わけ)を

君へと
伸ばそうとした指先にも
ためらいが 追いかけてきて 
首を振る
 

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僕が 求めていたもの
君が 求めていたもの
同じモノなのに

どうして

君は
僕ではダメなんだろう

どうして
僕は
君でないとダメなんだろう








☆Photo/(C)MIZUTAMA

(※このお写真はMIZUTAMAさまよりお借りさせて頂き、使用させて頂いております。
 こちらからの無断転載はくれぐれもおやめ下さいませ。)






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Real blue [こぼれ落ちる想い]


そっと放った
想いの行方は

偶然にゆだねられて

青にとけてゆく


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決して
忘れはしないけれど
 でも
 思い出しもしないような

そんな
おずおずとした記憶のかけら

『今』という煌めき
思いがけずまとってみても


変わらない記憶のままが


本当は
一番美しい








☆photo/(C)夏実















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想い星 [こぼれ落ちる想い]

  
その廻りあわせを
強く信じること出来なければ
きっと
言えなかったサヨナラ

別々の時間
当たり前のように流れ始めて
追い立てられるように 
それでも とにかくこなしてきて

誰もいなくなったオフィス 
デスクで 冷めてしまったコーヒー飲みながら
ふと 
君の入れてくれた 熱いマグのぬくもり
ユラリと心に立ち昇ってくる


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夜空の彼方 
いつもの場所に 瞬く星 
そっと君に 重ねていた

シクンと心に痛みが走る
サヨナラという名の約束 
信じた 二人

どんなに 
 どんなに 離れていても
どんなに 
 どんなに 時が流れても

君を重ねた 星

君も 同じ星 見つめただろうか
僕と 同じ星 見つめただろうか


夜空の彼方 
いつもの場所に 輝く星 

そっと 今日も重ねて
そっと 君と重ねて







☆photo/(C)夏実














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想い [こぼれ落ちる想い]

  
時間が
積み重なってきた時間が

どうしてもほどけなかった心を
ゆっくりゆっくりと溶かしてゆく

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どうしてこんがらがってしまったか

そんなことは
どうでも良いと

ただジワリ、
ジワリとにじんでゆくのだ





☆photo/(C)夏実











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